事故物件・再建築不可・共有持分の売却方法|買取業者に頼む前の確認点

事故物件・再建築不可 共有持分の 売却方法 頼む前の確認点 暮らし・住まい

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先に結論と売却の選択肢

事故物件、再建築不可の土地や建物、共有持分。こうした「訳あり物件」を相続したり、手放したくなったりしたとき、多くの人は「そもそも売れるのか」「どこに頼めばよいのか」と悩みます。普通の中古物件と同じように仲介で売り出しても、買い手がなかなか付かないことが少なくありません。

結論

訳あり物件は、条件をきちんと整理すれば売れる可能性があります。ただし、買い手が限られるため、仲介で時間をかけるか、買取業者に早く売るかで、手取りも手間も大きく変わります。買取に頼む前に、価格の根拠、費用、売却後の責任の扱いを、書面で確認してから決めるのが安全です。

訳あり物件が売れる可能性の考え方

訳あり物件が売れるかどうかは、「どんな訳か」と「買い手がその訳をどう評価するか」で決まります。事故があった物件でも、事情を正しく説明し、価格に反映すれば、納得して買う人はいます。再建築不可の土地でも、現状のまま使える人や、隣地の所有者にとっては価値があります。共有持分でも、持分だけを買い取る業者がいます。

つまり、売れない物件というより、買い手が限られる物件だと考えるのが実態に近いでしょう。買い手が限られる分、価格は通常より下がりやすく、売却までの期間も長くなりやすい点が、普通の物件との違いです。

買取と仲介のどちらを選ぶべきか

売却の方法は、大きく分けて、仲介と買取の二つです。仲介は、不動産会社に買い手を探してもらい、一般の買主に売る方法です。買取は、不動産会社などの業者が、直接その物件を買い取る方法です。

仲介買取
買主一般の個人や法人買取を行う業者
価格市場の相場に近い価格を目指せる相場より下がることが多い
期間買い手が見つかるまで時間がかかる条件が合えば短期間で売れる
手間内見の対応や条件の交渉がある業者とのやり取りが中心

価格を重視してじっくり売るなら仲介、早く確実に手放したいなら買取、というのが基本の考え方です。訳あり物件では、仲介で売れる見込みが薄い場合に、買取を選ぶ人が多くなります。

業者に頼む前に確認したい点

買取業者に査定を頼む前に、次の点を確認しておきましょう。

  • 自分の物件が、どの種類の訳ありに当てはまるか
  • 名義が正しく、権利関係に問題がないか
  • 売却を急ぐ理由と、いつまでに現金化したいか
  • 仲介で売れる可能性を、一度は確かめたか

これらを整理しておくと、業者の提示条件が自分に合うかを判断しやすくなります。

訳あり物件とはどんな物件か

訳あり物件の主な種類として、事故物件、再建築不可、共有持分、借地権、旧耐震の築古、違反建築を並べた図

訳あり物件とは、一般の物件に比べて、売却のしにくさや価格の下がりやすさにつながる事情がある物件のことです。法律上の明確な定義があるわけではなく、さまざまなケースが含まれます。

事故物件として扱われるケース

事故物件は、過去に人が亡くなった出来事があり、買主や借主が知ったときに、契約するかどうかの判断に影響する可能性がある物件を指して使われる言葉です。法律上の明確な定義はなく、自然死のように通常は告げなくてよいとされるものから、事件性のあるものまで、幅があります。

どのケースを買主に告げる必要があるかは、国土交通省が示す考え方があります。詳しくは、事故物件を売却するときの項目で確認します。

再建築不可物件になる条件

再建築不可物件とは、今ある建物を取り壊したあと、新しく建物を建てられない土地や、その土地に建つ建物のことです。主な原因は、建築基準法の接道義務を満たしていないことです。

接道義務では、建物の敷地は、原則として幅が4メートル以上の道路に、2メートル以上接している必要があります。この条件を満たさない敷地は、建て替えや大きな増築が認められないことがあります。例外として、特別な許可を得て建築できる場合もありますが、必ず認められるとは限りません。

建物の敷地が、幅4メートル以上の道路に2メートル以上接している必要があることを示した上から見た図

共有持分の物件の特徴と注意点

共有持分とは、一つの不動産を複数人で所有しているとき、各人が持っている所有の割合のことです。相続で兄弟姉妹が一つの家を共有するようになった、といったケースでよく起こります。

共有の状態では、物件全体を売却したり、建て替えたりするとき、原則として共有者全員の同意が必要になります。一方で、自分の持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できるのが原則です。ただし、持分だけを買いたいという人は限られ、価格も下がりやすくなります。

借地権・築古物件などの代表例

訳あり物件には、ほかにも次のような例があります。

  • 借地権付きの建物:土地は地主のもので、建物だけを所有している
  • 旧耐震基準の築古物件:古い耐震基準で建てられていて、買い手が不安に感じやすい
  • 違反建築物件:建築基準法に合わない増築などがある
  • 長屋連棟式の物件:隣の家と壁がつながっていて、建て替えに制約がある
  • 残置物が多い物件:室内に家財が大量に残っている

同じ物件に、複数の訳が重なっていることもあります。自分の物件に当てはまる点を、一つずつ書き出しておきましょう。

仲介で売れにくい理由と影響

訳あり物件を仲介で売り出したときに、なぜ売れにくいのか。その理由と影響を知っておくと、買取を選ぶかどうかの判断に役立ちます。

買い手が付きにくくなる事情

一般の買主は、住宅ローンを使って購入することが多くなります。ところが、再建築不可の土地や、共有持分、違反建築の物件などは、金融機関が融資に慎重になり、ローンが使いにくい場合があります。

また、買主が自分で住む目的で探している場合、事故のあった物件は心理的な抵抗から避けられがちです。買い手の候補が減るため、内見の件数も少なくなります。

価格が下がる主な要因

価格が下がる主な要因は、次のとおりです。

  • 買い手が限られ、競争が起こりにくい
  • ローンが使いにくく、現金で買える人に限られる
  • 購入後の建て替えや活用に制約がある
  • 購入後に再販売するときの売りにくさを、買主が価格に織り込む

売主が思い描く価格と、買主が見込む価格の間に差が出やすいため、売り出し価格をいくらにするかも、慎重に決める必要があります。

売却が長引くリスクと維持費の負担

売れるまでの期間が長引くと、その間、物件を持ち続ける負担が続きます。主なものは、固定資産税、管理の手間、建物の傷みへの対応です。空き家の場合は、庭や外壁の管理、近隣への配慮も必要です。

売れ残った物件は、値下げを重ねるほど、買い手から敬遠されやすくなる面もあります。売却が長引くことそのものが、大きなリスクだと考えておきましょう。

買取と仲介の違いを比べる

買取と仲介を、買主、価格、期間、手数料、売主の責任の五つの観点で比べた表

自分が何を重視するかを考えながら、次の違いを確認してください。

買主の違いと売却先の探し方

仲介では、不動産会社が広告を出して、一般の買主を探します。買主が見つかるまでは、売主は待つしかありません。買取では、買取を行う業者が買主になるため、売却先を探す手間がありません。

買取業者は、買い取ったあとに、リフォームや再販売、賃貸などで利益を出します。そのため、物件を活用する見込みがあるかどうかで、買取に応じるかどうかが決まります。

価格の決まり方の違い

仲介では、売主が会社と相談して売り出し価格を決め、買主との交渉で最終的な価格が決まります。市場の評価に近い価格で売れる可能性があります。

買取では、業者が、買い取ったあとの再販売価格や、かかる費用、利益を見込んで価格を決めます。そのため、仲介の相場より下がることが一般的です。目安として、仲介相場の7割から8割程度とされることがありますが、決まった数字ではなく、物件の状態や訳の内容によって大きく変わります。

売却までの期間の違い

仲介では、買い手が見つかるまでの期間が読みにくく、訳あり物件では数か月から1年以上かかることもあります。買取では、査定から決済まで、条件が合えば短い期間で完了する場合が多くなります。

ただし、権利関係の整理や、残置物の扱いなどに時間がかかると、買取でも期間が延びます。急ぐ場合は、いつまでに現金化したいかを最初に伝えておきましょう。

仲介手数料などの費用の違い

仲介では、売買が成立したときに、不動産会社へ仲介手数料を支払います。買取では、業者が直接買い取る形なので、仲介手数料はかからないとされる場合が多くなっています。

ただし、手数料がかからない分、買取価格に調整が入っている可能性があります。費用の有無だけで判断せず、最終的に手元にいくら残るかで比べることが大切です。

売却後の売主の責任の違い

売却後に、物件に隠れた不具合が見つかった場合、売主が責任を負うことがあります。これを契約不適合責任といいます。仲介で個人の買主に売る場合は、売主が一定の責任を負うのが一般的です。

買取では、業者が物件の状態を調べたうえで買い取るため、契約で売主の責任を免除する内容にすることが多くなっています。ただし、責任の範囲は、契約書の内容で決まります。売主の責任がどうなるかは、契約前に必ず書面で確認してください。

手取り額で比べる考え方

売却方法を比べるときに大切なのは、売却価格ではなく、手元に残る金額です。仲介と買取で、手取りがどれだけ違うかを、仮の例で考えます。

仲介手数料の計算のしかたと上限

仲介手数料には、法律で上限が決められています。売買価格が400万円を超える場合の上限は、売買価格の3%に6万円を足した額に、消費税を加えたものです。実際の金額は、会社との契約で決まります。

売買価格3%に6万円を足した額消費税10%を加えた上限額
1,000万円36万円39万6,000円
2,000万円66万円72万6,000円
3,000万円96万円105万6,000円

売買価格が低い物件には、上限額が引き上げられる特例があります。適用の条件は、依頼する会社に確認してください。

買取価格の考え方と減額の理由

買取価格は、業者が買い取ったあとの再販売の見込み価格から、リフォームや解体、権利の整理などにかかる費用と、業者の利益を差し引いて決まります。そのため、同じ物件でも、業者によって金額に差が出ます。

減額の主な理由は、再建築ができない、権利関係の整理が必要、残置物の処分が必要、といった買い取ったあとの手間とリスクです。査定額が低いと感じたときは、どの点が減額の理由になっているかを、具体的に聞いてみましょう。

条件を明示した試算例で比較

次の金額は、考え方を示すための仮の例です。仲介で2,000万円で売れたと仮定し、買取はその7割で売れたと仮定しています。解体や残置物の処分などの費用は、仲介では売主が負担し、買取では業者が引き取る前提で、仮に50万円としています。買取でも、処分費用が価格から差し引かれる場合があります。

項目仲介で売る場合買取で売る場合
売却価格2,000万円1,400万円
仲介手数料の上限額約72.6万円なし
解体・残置物の処分など50万円業者が負担する想定
手元に残る金額約1,877万円1,400万円
売却までの期間数か月から1年以上のこともある短期間のこともある

この例では、手元に残る金額は仲介のほうが大きくなります。ただし、これは仲介で想定の価格で売れた場合です。訳あり物件は、仲介で売れずに値下げを重ねたり、長く売れ残ったりすることもあります。期間の長さと、売れなかったときの負担も合わせて考えてください。

注意

仲介で2,000万円で売れる保証はありません。上の表は、条件をそろえて比べるための仮の例で、実際の金額は物件と業者によって変わります。

事故物件を売却するとき

事故物件の売却では、買主への説明と、価格への影響が大きな論点になります。

告知義務の考え方と確認先

売却するとき、買主に対して、過去の出来事を伝える必要があるかどうかを判断しなければなりません。国土交通省のガイドラインは、宅地建物取引業者が告げるべき範囲の考え方を整理しています。

  • 自然死や日常生活の中での不慮の死は、原則として告げなくてもよい
  • 発見が遅れて特殊清掃などが行われた場合は、告げる対象になることがある
  • 事件性や社会に与えた影響が大きい事案は、告げる必要がある

ケースごとの扱いを、ガイドラインの考え方に沿って整理すると、次のようになります。個別の判断は、不動産会社に確認してください。

ケース告知の考え方価格への影響の傾向
自然死で、すぐに発見された原則として告げなくてもよい影響は小さいことが多い
自然死だが、発見が遅れて特殊清掃が行われた告げる対象になることがある影響が出やすい
事件や自殺があった告げる必要があるとされる大きく影響することが多い
隣の部屋や共用部で起きた内容や状況で判断が分かれる事案によって異なる

実際の取引では、売主が知っている事実を隠すと、後でトラブルになるおそれがあります。迷ったときは、知っていることを正直に伝え、扱いを不動産会社に相談するのが安全です。

売却価格への影響と相場の見方

事故のあった物件は、一般の物件より価格が下がることが多くなります。下がり幅は、事案の内容、経過した年数、物件のある地域、物件の状態によって大きく変わります。

相場を見るときは、同じ地域の近い条件の物件の価格を調べたうえで、複数の会社に査定を依頼し、査定の根拠を比べてください。根拠を示さずに高い金額だけを伝えてくる会社には注意が必要です。

売却を進める手順と注意点

事故物件を売却する手順は、次のとおりです。

  1. 事案の内容と、経過した年数を整理する
  2. 不動産会社に事情を正直に伝え、査定を依頼する
  3. 告知の範囲を、会社と確認する
  4. 仲介で売るか、買取で売るかを決める
  5. 契約の内容、特に売主の責任の範囲を確認して契約する

伝え方を誤ると、後から損害賠償を求められるなどのトラブルにつながることがあります。事情を隠さず、書面で残すことを心がけましょう。

再建築不可物件を売却するとき

再建築不可物件は、建て替えができない制約があるため、売り方の工夫が欠かせません。

再建築不可になる条件の確認方法

自分の物件が再建築不可かどうかは、接している道路の種類と幅、接している長さで判断します。確認の方法は、次のとおりです。

  • 市区町村の建築指導の窓口で、前面の道路が建築基準法上の道路かを確認する
  • 公図や測量図で、敷地が道路に接している長さを調べる
  • 不動産会社や建築士に、再建築の可否を調べてもらう

見た目は広い道路に接していても、建築基準法上の道路でない場合があります。自己判断せず、必ず窓口か専門家に確認してください。

再建築不可の状態を解消できる場合もあります。たとえば、隣の土地の一部を買い取って、道路に接する幅を確保する方法や、特例の許可を受けて建築できる扱いにする方法です。ただし、費用や手間がかかり、必ず認められるわけではありません。売却の前に、解消の見込みがあるかを、専門家に調べてもらう価値はあります。

買い手になりやすい人の層

再建築不可物件の買い手になりやすいのは、次のような人です。

  • 隣接する土地の所有者で、敷地を広げたい人
  • 現状のまま使う前提で、安く手に入れたい人
  • リフォームや活用の知識があり、利益を見込める業者

一般の個人が、自分の住まいとして購入するケースは、ローンが使いにくいこともあり、多くありません。買い手の層を意識して、売り方を考えましょう。

価格の目安の見方と注意

価格は、同じ地域の再建築ができる物件より、大きく下がるのが一般的です。下がり幅は、立地、広さ、建物の状態、接道の状況によって異なります。

目安を知りたいときは、複数の会社に査定を依頼し、どのような前提で価格を出したかを確認しましょう。再建築ができない前提の価格なのか、将来の救済の可能性を見込んだ価格なのかで、金額が変わります。

向いている売却方法の選び方

再建築不可物件は、次のような考え方で売却方法を選びます。

状況向く方法
隣地の所有者が買ってくれそう隣地の所有者に直接相談する
早く手放したい買取業者に査定を依頼する
時間をかけてもよい仲介で、買い手の層に合わせて売り出す

共有持分を売却するとき

共有持分の売却は、他の共有者との関係が大きく関わるため、進め方に注意が必要です。

単独で売却できるかの確認方法

自分の持分だけであれば、他の共有者の同意がなくても売却できるのが原則です。一方で、物件全体を売却するには、共有者全員の同意が必要になります。

まずは、登記簿謄本で、自分の持分の割合と、他の共有者を確認しましょう。そのうえで、持分だけを売るのか、全員で物件全体を売るのかを決めます。

他の共有者との調整のしかた

持分だけを売却した場合、買主が新しい共有者となり、他の共有者とのやり取りが生じます。後でトラブルにならないよう、事前に他の共有者へ連絡しておくのが望ましい場合もあります。

  • 共有者が相続人同士なら、話し合いで物件全体を売却する方向を探る
  • 共有者の一人が買い取る、という選択肢もある
  • 連絡が取れない共有者がいる場合は、専門家に相談する

持分だけを買い取ってもらう方法

持分だけの売却は、一般の買主には向かないため、持分の買取を行う業者に依頼するのが現実的です。業者は、買い取った持分を活用して、他の共有者との交渉や、物件全体の売却に結びつけます。

持分の買取価格は、物件全体の価格に持分の割合を掛けた額より、大きく下がることが多くなります。買い取ったあとの手間とリスクを、業者が価格に織り込むためです。複数の会社に査定を依頼し、根拠を聞いて比べましょう。

持分を売却すると、買主である業者が、他の共有者に対して、物件の買取や分割、売却の協力を求めることがあります。そのため、他の共有者に、突然連絡が届くこともあります。親族間の関係に影響が出る可能性があるため、売却を決める前に、他の共有者に事情を伝えておくかを、よく考えてください。

買取業者の選び方と確認点

買取業者は、会社ごとに、得意な物件や条件が違います。選ぶ基準を持っておきましょう。

対象物件に対応しているかの確認

まず確認したいのは、自分の物件の種類を、買い取ってもらえるかどうかです。業者の公式サイトには、対象にしている物件の種類が書かれています。たとえば、訳あり不動産の買取を行うラクウルの公式サイトでは、事故物件、再建築不可物件、共有持分、違反建築物件、旧耐震の築古物件、借地権などが対象として案内されています。

対象になっていても、個別の条件によって断られることもあります。査定を依頼するときに、物件の事情を正直に伝えて、対応できるかを先に確認しましょう。

査定額の根拠の聞き方

査定額が出たら、次のような質問で根拠を確かめます。

質問見たいこと
この金額は、どのように決めましたか再販売価格と費用の見込みを示せるか
減額になっている点はどこですか具体的な理由を説明できるか
他の物件の買取事例はありますか同じ種類の物件の実績があるか
この金額はいつまで有効ですか有効期限と条件の明示

答えが曖昧なまま、早く決めるよう急かす業者は、避けたほうが安全です。

契約内容と売主の責任の確認

契約を結ぶ前に、契約書で次の点を確認してください。

  • 売主が売却後に負う責任の範囲
  • 契約不適合責任を免除する条項があるか
  • 手付金や違約金の扱い
  • 引渡しの時期と、残置物の扱い
  • 業者が負担する費用と、売主が負担する費用

「売却後の責任を負わない」といった案内があっても、実際の責任の範囲は契約書で決まります。口頭の説明だけで判断せず、書面で確認しましょう。

業者の信頼性を見るときは、宅地建物取引業の免許番号が公開されているか、会社の所在地と連絡先が明確か、買取の実績が示されているかも、確認の材料になります。免許番号は、国土交通省や都道府県の公開している検索の仕組みで、実際に登録されているかを確かめられます。

査定を頼む前にしておく準備

査定を頼む前の準備が整っていると、金額の精度が上がり、話がスムーズに進みます。

用意しておきたい必要書類

次のような書類を、手元にあるものから集めておきましょう。

  • 登記簿謄本。登記事項証明書とも呼ばれる
  • 固定資産税の納税通知書
  • 購入時や相続時の書類
  • 建物の図面や測量図、公図
  • 共有の場合は、共有者の氏名と連絡先が分かるもの
  • 賃貸中の場合は、賃貸借契約書

すべてが揃っていなくても、査定の依頼はできます。足りない書類は、会社に取得を手伝ってもらえる場合もあります。

物件情報の整理のしかた

査定の依頼のときに伝える、物件の情報を整理します。

  • 所在地、土地と建物の面積、築年数
  • 訳の内容と、分かっている経緯
  • 現在の使用状況と、残置物の有無
  • 住宅ローンや抵当権の有無
  • 売却を希望する時期

権利関係の確認ポイント

権利関係は、売却の可否に直結します。次の点を確認しておきましょう。

  • 名義が、現在の所有者になっているか
  • 相続登記が済んでいるか
  • 共有者が何人いて、連絡が取れるか
  • 借地権や抵当権などの権利が付いていないか

相続登記が済んでいない場合は、まず名義の変更を進める必要があります。手続きは、司法書士に相談すると進めやすくなります。

査定を頼む前に、名義と相続登記、必要書類、訳の内容と経緯、共有者の連絡先、住宅ローンの残りを確認するチェックリスト

査定の依頼から現金化まで

査定を依頼してから、現金を受け取るまでの流れを見ておきましょう。

査定の依頼のしかたと伝える情報

査定の依頼は、会社の公式サイトの問い合わせ画面や電話で行います。会社によっては、物件の種類、所在地、面積を入力する簡易なオンライン査定も用意されています。ただし、これは目安を知るためのものと考え、正式な金額は現地の調査を経て決まると理解しておきましょう。

伝える情報は、前の項目で整理した内容です。不利な事情も隠さず伝えることが、あとから金額が変わるトラブルを防ぎます。

現地確認で見られるポイント

現地での確認では、次のような点が見られます。

  • 建物の傷みや、設備の状態
  • 残置物の量と、処分の必要性
  • 土地の形状や、道路との接し方
  • 周辺の環境と、隣地との境界

確認には、立ち会いが必要な場合があります。日程は、都合を伝えて調整しましょう。

契約から決済までの流れ

買取の一般的な流れは、次のとおりです。

  1. 問い合わせと、物件の情報の提供
  2. 現地調査と査定、金額の提示
  3. 金額と条件に納得したら、売買契約を結ぶ
  4. 決済と引渡しをもって、買取が完了する

決済の日までに、鍵の準備や、荷物の整理、必要書類の用意を済ませます。住宅ローンが残っている場合は、完済の手続きも、決済に合わせて行います。

買取の流れを、問い合わせ、現地調査と査定、契約、決済と引渡しの四つの段階で示した図

失敗しないための注意点

買取での売却は、金額の大きな取引です。よくある失敗を、事前に知っておきましょう。

安さだけで決めてはいけない理由

手数料がかからない、すぐに現金化できるといった言葉は魅力的ですが、手元に残る金額で比べなければ意味がありません。手数料がかからなくても、買取価格が低ければ、結果として損をすることがあります。

反対に、他社より高い金額を提示されても、契約の直前に減額を求められる場合があります。最初の金額の根拠と、減額になる条件を、契約前に確認しておきましょう。

よくある失敗防ぐための確認
査定のあとで、現地調査を理由に大きく減額された減額の条件と、金額が確定する時点を事前に聞く
残置物の処分費用を、あとから請求された処分の費用を、どちらが負担するかを書面で確認する
売主の責任の範囲を知らずに契約した契約書の責任に関する条項を、署名の前に確認する
1社だけで決めて、相場を知らなかった複数社の査定を、同じ条件で比べる

複数社で比べるときのコツ

複数の会社に査定を依頼するときは、同じ情報を同じように伝えてください。条件が違うと、金額の差が、会社の違いなのか、情報の違いなのか、分からなくなるからです。

比べる項目確認のしかた
査定額金額と、その根拠の説明を書面で受け取る
減額になっている点減額の理由と、金額が確定する時点を聞く
費用の負担は売主か業者か解体や残置物の処分費用を、誰が負担するか確認する
売主の責任の扱い契約書の責任に関する条項を確認する
決済までの期間問い合わせから決済までの日数の見込みを聞く

会社ごとにこの表を作ると、金額の差の理由が見えてきます。答えが得られない項目は、問い合わせて確かめましょう。

契約不適合責任の確認のしかた

契約不適合責任は、引き渡した物件が、契約の内容に合わなかったときに、売主が負う責任です。買主は、修理や代金の減額、損害賠償、契約の解除などを求められる場合があります。

買取では、売主の責任を免除する内容にしている会社が多いのですが、免除されるかどうかは契約書で決まります。契約書に、責任に関する条項があるかを確認し、分からない点は、署名の前に質問してください。不安があれば、弁護士などの専門家に相談するのも一つの方法です。

よくある質問

訳あり物件の売却で、よく寄せられる疑問に答えます。

ローンが残っていても売れる?

住宅ローンが残っていても、売却は可能です。ただし、売却代金で、残りのローンを完済して、抵当権を外す必要があります。売却価格がローンの残りを下回る場合は、不足分を自己資金で補うことになります。

まずは、金融機関に残債を確認し、査定額と比べてみてください。売却代金が足りない場合の進め方は、売却を依頼する会社と金融機関に相談しましょう。

相続登記が未了でも売れる?

相続登記が済んでいない状態では、物件の名義が亡くなった人のままのため、売却の契約を結べません。売却の前に、相続登記を済ませる必要があります。

手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。会社によっては、相続登記を含めて相談に乗ってくれることもあります。早めに状況を伝えて、相談しておきましょう。

近隣に知られる?

買取での売却は、市場に広告を出さずに進められることが多く、近隣に知られにくいのが特徴です。仲介では、広告や内見があるため、近所の人に気づかれる可能性があります。

知られたくない事情がある場合は、査定を依頼するときに、その希望を伝えておきましょう。現地調査の方法や、連絡の手段についても、相談できる場合があります。

まとめと次の行動

判断の要点の整理

訳あり物件の売却は、種類ごとの特徴を理解し、売却方法を比べることから始まります。要点を整理します。

  • 訳あり物件は、買い手が限られるが、条件を整理すれば売れる可能性がある
  • 仲介は価格を重視、買取は早さを重視する方法で、手取りで比べる
  • 事故物件の告知、再建築不可の条件、共有持分の同意は、種類ごとに確認する
  • 買取業者には、査定額の根拠と、売主の責任の範囲を、書面で確認する
  • 複数社に同じ条件で査定を依頼し、比べて決める

査定を頼む前にやること

まず、物件の種類と、権利関係、必要書類を整理してください。次に、仲介と買取のどちらを重視するかを決めます。そのうえで、複数の会社に同じ情報を伝えて査定を依頼し、手元に残る金額と、契約の内容を比べましょう。

売却に迷いがあるうちは、相場を知る目的での相談から始めても構いません。急いで決める必要はありません。納得できるまで確認し、自分に合う売却方法を選んでください。

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